瑞々しい青春の1ページ:カメラが映す『明日ちゃんのセーラー服』

例えば「髪を縛る」一幕のために、ここまでページを使う。

2話より

(漫画に見識があるほうではないと自認しているのはさておき)ボクはこんな漫画、初めて見ました。
『明日ちゃんのセーラー服』って作品なんですけど。

3巻表紙

この表紙とかも、主人公の下着なのに扇情性より瑞々しさを感じる。
でもボク個人としては、そういう描写があるゆえに読んでいられるのか皆目分からない。
それ以前に、未だにハマっているかどうか掴めないせいで、今書いてるこの記事を布教と呼べるのかすら自信がもてない。
そんな本作に感じた魅力を、取り留めなく上げてみたいと思います。

本筋としては……

主人公・明日小路が序盤で中学校に入学するところから始まり、クラスの友達との交流や家庭環境を描いたりする作品。
ただまずもって、志望する中学校の選択理由は元より、それが否定されないどころか難色すら示されないのにも「何か普通の作品じゃない」と感じさせられたんですが。

妙に魅きつけられるコマの数々

3話より

例えば、3話でクラスの名簿が出てきたり。

7話より

7話ではこんな足フェチ生唾の1コマが見られたり。

11話より

11話にて明日ちゃんが縄跳びをするシーンもこの通り。しかもこれ、数ページに渡って続くんです。

で、そこからちょっと飛びますが、19話と20話の間の番外編(単行本としては4巻収録)でやっと腑に落ちた。

これ、写真じゃんって。

番外編より

もちろん、写真やカメラが関わる展開も結構あります。
上記3話のクラスの名簿なんて諸に写真だし、7話の1コマも明日ちゃんのクラスメート・谷川景が明日ちゃんたっての願いで血迷ってスマホを使い撮ったもの。

ただ、番外編はそういう気配も全くありません。にも関わらずはしゃぎながらプール掃除をする明日ちゃんは天真爛漫な笑顔と共にピース。
もちろんじゃあ写真で確定かと聞かれればそんなつもりもないんですが、ボク個人としては「1コマ1コマが写真なんだ」と気づいた瞬間に筋が通る気がしました。
2話の髪を縛るシーンとか、11話の縄跳びも連写だと考えたらすっと染みてきたし。
番外編に限らず、新しめの回は特にそういうカメラ目線とか、登場人物が写真映りを意識したようなコマ、あるいは描く側の意図として写真撮影が意識されたようなコマ(番外編で言えば「登場人物がすっ転ぶ途中」みたいな)もあるので。

『明日ちゃん』、「エロくない」健全なフェティシズムとかも確かにあるんですが、それよりもう少し根本的な魅力があると思うんです。
かと言って、「女の子を可愛く描くことに特化してる」とかまで遡ると、それもまた戻り過ぎててちょっと違う気がして。
じゃあ何なのかと考えたら、個人的にはこの「写真」っぽさがカッチリハマった。

アルバムを見返すように、ひたすらに青春を振り返れる。
続きを読みたくなる感覚以上に、今ある回を無限に眺めていられる。
そんな感想を、『明日ちゃん』には抱いたのでした。

終わりに

明日ちゃんたちが土砂降りに遭い、その場の状況もあり吹っ切れて雨に打たれまくる24話が今のところ一番好きな回です。ボクもやったもんで、そういうこと。中学生じゃなくて小学生の時だけど
でも「明日ちゃんの一番好きな1コマ」って話をすれば、11話にそれがあります。
ゲップまで可愛い女の子なんてそうそういないのも、それはそれで確かだと思うんだ。

Written on July 13, 2019